松山の名菓といえば「一六タルト」と「六時屋タルト」。
でも、この2つのタルトが並んでいるとどちらを選べばいいのか迷ってしまいます。
実はこの2つのタルトには、味わいや歴史、職人の技術など、様々な面で違いがあるのをご存知でしたか?
この記事では、一六タルトと六時屋タルトの異なる魅力を徹底解説します。
お土産選びの参考にしたり、気になるタルトの味わいを予習したりできます。次の機会にぜひ食べ比べてみたくなるかも。
観光で訪れる際の目利きにもなりますよ。
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一六タルトと六時屋タルトの違い
一六タルトと六時屋タルトの見た目の違い
一六タルトと六時屋タルトは、ともに四国の銘菓として知られるタルト菓子ですが、その見た目はあまり違いがありません。
どちらも、ロールケーキ風の見た目で南蛮由来の和菓子の形としてとても洗練された形ですね。
一六タルトと六時屋タルト、どちらもベースとなるレシピが松山藩主・松平定行公が、渡来したポルトガル人から習ったものだからでしょうか。
でも、あえて一六タルトと六時屋タルトの見た目の違いを挙げてみます。
一六タルトと六時屋タルトの生地
一六タルトと六時屋タルトのどちらの生地もこしあんを「の」の字に巻いたロールケーキのような見た目です。
このクリーム色の生地を眺めてみると、一六タルトの方がきめ細やかで目が詰まった感じ。
六時屋タルトは生地が気持ちふわっとしたように見えます。
また、一六タルトには六時屋タルトと大きな違いがあります。
それは、あまおう苺や宇治抹茶、ショコラなど、タルトにいろんな味があること。
そして、宇治抹茶なら濃緑のように、タルトの味によって生地の色がタルトの味に応じた色になります。
六時屋タルトは生地の色が変わらないので、生地の色がクリーム色以外のタルトは一六タルトですね。
一六タルトと六時屋タルトの餡の巻き方
一六タルトと六時屋タルトのどちらもこしあんを「の」の字に巻いています。
一六タルトの「の」の左下がちょっと太めで「の」の字の左側の丸い部分をこしあんで塗りつぶしたように見えます。
一方、六時屋タルトは「の」の左側の太さはあまり変わりません。
一六タルトと六時屋タルトの大きさ
一六タルトよりも六時屋タルトの方が一回りほど大きくはないけど少し大きめです。
また、生地で巻かれているこしあんの量も多めに感じます。
一六タルトと六時屋タルトの味の違い
六時屋タルトは生地が存在感があり味わい深いです。あんこもねっとりとしたこくのある昔ながらの素朴な風味で、年配の方から馴染みの深い味として人気です。
しっとりとした餡とふんわりカステラの食感が絶妙に調和しており、餡の味が主役の全体的に控えめな甘さ。
お土産の形として完成されたものというか。
一方で一六タルトは、誰からも受け入れやすい万人向けの作りのように感じます。
生地のきめも細かく、柚子の香りが全体に広がるさわやかな味わいです。餡子の風味はさらっとした控えめで、餡が苦手な人はこちらの方が食べやすいでしょう。
一六タルトと六時屋タルトの季節限定メニューの違い
一六タルトと六時屋タルトの大きな違いともいえるのが、季節限定メニューなどのいろんな味のタルトがあるかどうか。
実は一六タルトは、柚子の一六タルトがベースとなりますが、苺やショコラなどさまざまな味のタルトが販売されています。
一六本舗の春に訪れたときには、宇治抹茶にあまおう苺、桜、ショコラなど、いろんな味の一六タルトがありました。
一方、六時屋タルトにはタルトと超特選タルトがありますが、どちらも王道のもので、苺などのように味の違うものはありません。
一六タルトと六時屋タルトの歴史の違い
一六タルトと六時屋タルトの歴史を紐解けば、その起源には違いがあることがわかります。
一六タルトは、明治16年に創業した和菓子店「一六本舗」の看板商品です。
その起源は、松山藩主・松平定行公が、渡来したポルトガル人から習ったという伝承にあります。カステラを発展させた和菓子だと言われています。
100年以上の歴史を持ち、昔ながらの製法で作られる一六タルトは、まさに松山の銘菓と呼ぶにふさわしい存在です。
一方の六時屋タルトは、昭和8年創業の「六時屋」が製造する菓子です。こちらもその起源は、松平定行公が習ったポルトガル菓子にあるとされています。しかし一六タルトに比べると歴史は浅く、その詳細は不明な部分が多いようです。
ある年配の方から、「六時屋の味は、私が子供の頃から変わっていない」と聞いたことがあります。一六タルトよりもさらに古くからあった、松山の町菓子の系統を六時屋タルトが継承しているのかもしれません。
このように、一六タルトは由緒ある銘菓、六時屋タルトは古くからある町菓子の系譜を持つ、と考えられています。その歴史の古さが、それぞれの味わいのこだわりにもつながっているのかもしれません。
一六タルトと六時屋タルトの職人の技術とこだわりの違い
長い歴史を持つ一六タルトと六時屋タルトには、それぞれ職人の技とこだわりが込められています。
一六タルトの職人の技術とこだわり
一六タルトといえば餡が欠かせません。小豆は上質なものを使い皮をむいて滑らかな口当たりを実現しています。加えて、四国特産の柚子と白双糖を用いることで、すっきりとした上品な味わいに仕上がっています。
生地作りにも職人の技が光ります。卵や小麦粉だけを使い、バターや油は一切使用しません。これにより、生地に油っこさがなく、あんこの風味がよりクリアに感じられるのです。焼き上げも、しっとりとした水分感を残すため、高温で短時間で行われます。
更に、焼き上がった生地に特別な手間をかけることで、ふっくら柔らかい食感を実現しています。長年の研究と改良によって生まれた、一六タルトならではの極意なのです。
入念な手間を省かないからこそ、一六タルトならではの味わいが生み出されるのでしょう。
六時屋タルトの職人の技術とこだわり
六時屋タルトでは、原材料の選定から製品の完成まで、一貫して真心を込めて作り続けています。
北海道産の厳選された極上小豆を使用した自社製あんは、手作りのカステラとともに1本1本丁寧に巻き上げられています。これにより、独特の風味が生まれ、タルトに深い味わいが広がります。
「超特選タルト」には、専用の青い卵(アローカナ)を使うこだわりも。
また、職人が手作業で行う工程も特筆すべき点です。
できたての餡を丁寧に「へ」の字に塗り、すだれで巻き寿司を巻くように切り口を整えます。この工程には職人の心が込められており、一本一本が丹精込めて作られています。
一六タルトと六時屋タルトの値段の違い
一六タルトの値段は現時点では定番の柚子は1本で972円、苺などのオリジナルは1188円。一切れサイズの個包装なら160円程度です。松山名産の銘菓としてはリーズナブルな値段設定になっています。
対して六時屋タルトは、現時点では定番のものが小が1本1000円、超特選タルトが2300円。大、特大と大きくなると値段も上がります。
昔は一六タルトと六時屋タルトの値段はさほど変わらなかったと聞きますが、最近では六時屋タルトの方が高くなっているようです。それでも地元の人は「美味しいものには値段なり」と言って、六時屋タルトを重宝しているようですね。
とはいえ、一六タルトの柚子と六時屋タルトの小なら、値段の差はほとんどありません。
一六タルトと六時屋タルトで松山のお土産に人気なのはどっち
最後に、一六タルトと六時屋タルトでは、松山や道後温泉を訪れた際のお土産として、どちらのタルトが人気なのでしょうか。
道後温泉の町では、一六タルトと六時屋タルトはそれぞれ直営店で手に入ります。
しかし、観光客に人気なのは一六タルトの方だといわれています。有名な松山銘菓として認知度が高く、駅などでも簡単に買えるためです。
松山のタルトの王道である柚子味だけでなく、苺や桜、宇治抹茶などさまざまな味が選べるところも人気の一つです。
一方で、地元の人が選ぶのは六時屋タルトが多いようです。そのぎゅっと詰まった風味と、贅沢な食材を使った味わいが人気のようです。
道後温泉を訪れたときに「地元の人は六時屋派が多いらしい」と耳にしました。
このように、一六タルトと六時屋タルトは共に人気が高く、お土産としても定番の品です。しかし、地元では六時屋タルトの方がやや上をいく評価を受けているようです。
ちなみに、私は六時屋タルトも一六タルトもどちらも好きなので、松山や道後温泉を訪れた折にはお土産や自分用に両方買って帰ります。
一六タルトと六時屋タルトの話を聞けば聞くほど、一方だけ選ぶのが難しくなってしまいますね。
一六タルトと六時屋タルトの違いに迫る!まとめ
松山の名菓として知られる一六タルトと六時屋タルトの違いについてご紹介しました。
素人からすると見た目はそれほど変わりなく感じますが、見た目や味わい、それぞれの職人の思い入れには知れば知るほど心打たれてしまいます。
観光客には一六タルトの認知度が高いですが、地元民は本場の味とされる六時屋タルトを重んじる傾向にあります。
しかし、一六タルトと六時屋タルトの両方を食べたことがある私としては、それぞれにおいしさがありどちらか一方を選ぶのはとても難しいです。
一つ言うなら、一六タルトは柚子の風味はゼロにはなりませんが、苺や宇治抹茶といったいろんな味があるので毎回楽しみにしています。
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